Alexa、僕はあの日夢見た僕にはまだなれていないんだ。

「僕たちは頭がいいから」

「学歴がよく、所得が高く、いわゆる社会階層が高い集団の人達が、そうでない人達を見下す場面に遭遇して不快な思いをした」という旨のツイートを見た。そういう状況は実際にいくらでもある。それが不快で、今はツイッタランドとも距離を置いている。

 

一般的に、人を馬鹿にしていいということはなく、そのような旨を口に出すことは問題である。

しかし、自分の中にそのような感情は時として生まれることはある。それを口に出すことで私は自己嫌悪に陥るだろうし、また、それで自己嫌悪しない人間である/になることは今の私はにとっては喜ばしくない。

 

従って、それを口に出すことがないように、感情を論理で克服しよう。

また、どのように対応すればいいのかを考えてみよう。

  

・モラルがないから馬鹿にする

モラル=社会倫理は、主には環境・教育・所得水準に依存する*1

モラルのない人間というのは一定数おり、そのような人たちとコミュニケーションをとることで不快になることはある。(貧しく、また教育水準が低くてもモラルがしっかりした人たちはいる。私を不快にするのはモラルのない人達である)

そのような人たちに対してモラルある行動を期待するのであれば、インセンティブ設計を適切に行い環境をデザインするべきである。それができないのであれば、黙って距離を置こう。

 

・所得が低いから馬鹿にする

所得格差は、当人の努力よりも当人が置かれた環境のほうが原因としての比重が大きい。そして、当人が置かれた(とりわけ若いころの)環境は、当人が干渉できないものである(故に環境と呼ぶ)。であれば、所得の低いものを蔑むよりも、そのような状況が発生した原因となった社会システムの欠陥を指摘することのほうが建設的である。*2

 

・頭が悪いから馬鹿にする

頭の良し悪しという比較は、高度に分業化され身に着ける能力が異なる現代社会では、その比較自体が成立しない。1kgと1オクターブはどちらが優れているか、と比較するようなものである。*3

 

・醜悪だから馬鹿にする

→これについては、あまり自分が意識したことないな。自分がそこまで容姿に優れていないからだろうか。容姿で人を評価するのは普通に失礼。

 

・学歴が低いから馬鹿にする

→学歴は、所得/頭の良し悪し/社会的地位/社会的影響力に影響するファクターである。それゆえに、学歴単独で人を評価することにはあまり意味がない。

 

・学歴と所得の相関について

学歴の上下というものはある。また、学歴をフィルタリングの条件として職業の募集をしている現実があるということは、受け止めなくてはならない。それゆえに、学歴と所得の相関は一定程度存在するといえる。*4。ただ、だから人間的にどうこうという問題ではない。社会人の入り口時点で、高所得の仕事は応募が多いから効率的にフィルタリングをせざるを得ず、ゆえに高所得人気職種はフィルタリングに強い高学歴者が多いという、それだけの問題だ。つまりそれは道徳的是非の問題ではなくコストと効率に起因する事象である。

→つまり、学歴と所得の相関は、選別コストの問題というだけである。もしPSYCO-PASSのシビュラシステムみたいに、個人の適性を見抜いて最適化する仕組みが低コストで提供できる社会環境が整うのであれば、学歴はフィルタリング突破の有利条件にはならず、学歴と所得の相関が減るのであろう。(PSYCO-PASSの世界では、色相/犯罪係数という因子が重視されていた)

*1:住食足りて礼節を知るという言葉や、治安と所得水準の相関が示す通りだ。治安の悪い危険な国?治安の良い安全な国?世界治安ランキングただし、統計的に「その傾向がある」というだけだ

*2:同じ環境下でも所得の高低が発生しているとして、努力をしてこなかったのだと見做すような反論があるかもしれないが、それは所得自体がそこまで魅力的なインセンティブではなかったというだけの話であろう。もしくはインセンティブが隠されているたのだという問題である。それは情報格差があったという意味であり、つまり環境が異なったというだけである。

*3:社会は高度に分業が測られているのであり、この分業体制下では、各人は各人の持っている仕事に応じた視座・視野・視点を職業体験の過程で身に着けるものだ。各人は各人の仕事に最適化されていくといえる。

測定基準は各人が割り当てられた仕事への適合度によって測られるのであって、統一された物差しは存在しない。

故に、頭の良し悪しを比べるとしたら、同じ仕事に割り当てられた二者を比較するべきであって、持っている仕事が違う二者を比較することは無意味である。

従って、頭のいい者が頭の悪いものを馬鹿にした、というとき、もし両者が異なる仕事を割り当てられている場合、無意味な比較をしているだけだと言える。そのような比較に基づいた評価は、無論、無効である。

*4:

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