Alexa、僕はあの日夢見た僕にはまだなれていないんだ。

陰翳礼讃-谷崎とフェルメールと落合陽一

ダニエルピンクの本*1 によれば、集中力を高めて仕事をするには、午前にみっちり仕事をして、午後はゆっくりと休み、夕方から数時間仕事をする、というサイクルが良いようだ。また、午後には14:50頃/起床から7時間ほどたったタイミングで眠気が来て集中力が下がる午後の谷といわれる時間があるので、この時間にコーヒーを飲んでから休憩をするとよいらしい。

今私はコロナの影響でリモートワークをしており、そのおかげでだいぶ一日の使い方の自由度が上がっている。

そこで、せっかくだし本の学びを行動に移そうと思い、電気を消してゆっくりしていた。

 

大変リラックスしたモードになれたのだが、その一因には、電気を消して窓から入ってくる明かりだけで仕事をすることができたこともあるかもしれない。

いつも部屋は一番明るい白色のLEDライトに照らされていて、外が晴れだろうが曇りだろうが、環境には変わりがない。

しかし、ライトを一度消してみると、窓から入ってくる光だけが部屋の中を照らすのであり、もちろん明るさはいつもより少ないし、窓の一方向からだけだから、部屋の中にできる陰が一気に増えるのである。

陰があると、景色が映える。陰がある絵は、見ていて落ち着く。

谷崎潤一郎の陰翳礼讃*2という本があるが、白さ・明るさを強調し陰が排除されたものには、古来日本人が感じてきた風流は存在しないのだと描かれている。

フェルメールの絵には、時代性を考えれば当然のことながら人工の光は描かれない。自然光とそれが作り出す陰が、お互いを強調し、空気を醸しだす。そのことによって、鑑賞者である我々は、静かな臨場感を抱いてフェルメールが300年前に描いた空間に触れることができるのである。

落合陽一の写真は、ホワイトバランスをマイナスに振り切って撮影したようなものが多い。僕は彼の写真が好きなのだけれど、なぜ好きなのかと言われれば、谷崎の言う陰翳が彼の写真に見られるからであり、私の持っている日本人としての精神性がその陰翳に惹かれるからだろう。*3

 

しばらく仕事ばかりしていからか、LED照明のもとに自分を置き続けてしまっていたようだ。

自然光と陰翳の中に身を沈めるような生活に浸ってもいいのかもしれない。

 

 

 

f:id:klex:20200410153834p:plain

フェルメール『牛乳を注ぐ女』

 

*1:

When 完璧なタイミングを科学する

When 完璧なタイミングを科学する

 

*2:

陰翳礼讃

陰翳礼讃

 

*3:note.com