読書録:知的複眼思考(サイコロの展開図の作り方)
世の中には、何度も読み返し実践に移し血肉化しなければならない本がある。
知的複眼思考は、その一つであると感じる。
最近の自分の課題として刺さるコミュニケーションができていないことが挙げられる。
そのために必要なのは、
①クリスタライズ
③サイレンス*2
であるというのが今の私の結論だ。本エントリでは①についてのみ語り、②③は別のエントリでいずれ紹介したい。
クリスタライズ(思考の結晶化)
100を考えて1に凝縮するというのがクリスタライズだ。
そのためには100を考える必要があるのだが、ではどうやって100を考えるのか、という問題に突き当たる。
そこで重要になるのが、この知的複眼思考で取り上げられている視点である。この本では物事を一面的にとらえることがないようにするためにはどうするべきか、どのような問を立てるべきかを詳細に、事例も交えつつ紹介している。
最近はインプット過多でプロセスとアウトプットの精度が向上していないような気がするから、自己研鑽をする際にはこの本を座右にして考えを深めたい。
基本
①関係論的に捉える
関係論的に捉えるとは、事象を分割し、分割された事象ごとにみる、分割された事象間の関係をみるということである。
具体的な問いの立て方としては、
①A「この事象は常にAということはなく、この前提条件のもとではAだがあの前提条件のもとになるのはBになるのではないか(場合分けが不十分)」
①B「この問題提起は一面的な捉え方しかできていない。輸送需要の逼迫という問題において、供給だけではなく需要の統制も考えるべきだ(片手落ち)」
①C「この事象の時系列変化はどうなっているのか(時間軸の不在)」
②パラドクスの発見
意図せざる行為の結果(Aを企図してXをしたのにも拘わらず、Bになった)
②A「このアクションには、副作用がある(副作用と副産物)」
②B「このアクションは、抜け道を考慮していない(悪意の見逃し)」
②C「このアクションは、個人レイヤーと社会レイヤーでの最適アクションを混合している(合成の誤謬、分割の誤謬、協調ゲーム;全体と個の混合)」
②D「このことが問題視されることで、我々は目をそらされている。このことが問題視されることで誰かが得をしている(誘導)」
応用
①批判的に読書をする
著者の狙いが分かれば批判ポイントも分かる
「お前さんの本当の目的は何だい(著者の著述目的)」
「お前はどこの学派/クラスタだい?(著者の無意識な前提)」
「題目と中身が違うじゃねえか(タイトル詐欺)」
「無理のある解釈をしてるんじゃないよ(テレビ的切り取り)」
②質問をする、問いを立てる
何か質問はありませんか、と話者はいうが、「質問とは話の内容が分からないときに行うものだ」という前提に立てば、話者が優れているほど質問が出ないのは普通である。その時には、次の問を発してみよう。
「○○とはどういうことか(実態を問う)」
「○○なのはなぜか(理由を問う)」*3
以上、知的複眼思考のメモをもとに、自分が今後の自己研鑽をするときにどのような視点で整理するべきかを並べてみた。この記事の視点は、一年で血肉化したい。
*1:最近、Newspicksの動画で明石ガクトさんがパンチラインの効いた言葉を並べることが重要だと言っていた。戦略コンサルのブログを読んだときにも似たようなことを言っていた
*2:帰ってきたヒトラーという映画で、ヒトラーが初めてカメラの前に立ってよいスピーチのためには沈黙を利用し観衆の興味を引き付けることが重要だと語っていた。また、戦略コンサルのブログでも相手に考える間を与える/相手に言葉を染みつける間を与えるという意味で重要だと言っているhttps://takashi-kogure.hatenablog.com/entry/2020/03/30/222835
*3:なぜ5回などは基本動作であるが、これが日常的に実践されているのかについては怪しい場面が多々ある。